今回はわびさびとは簡単にどういう意味なのかや語源、使い方についてご紹介します。
私たち日本人は、古びて歴史を感じるものや簡素でムダがないもの、いわゆる「わびさび」に惹かれるものです。
実際に日本ならではの文化といえば、その象徴である京都や奈良などの景色が思い浮かべられますよね!
そんな日本独自な美の文化。
ヨーロッパ諸国の歴史的建造物と比べても、作りも色味もシンプルなものが多い感じがします。
日本の心に刻まれた「わびさび」。
どんな意味なのかって聞かれたら、意外と説明できないのではないでしょうか?
なので、わびさびとは簡単にどういった意味なのか、語源はなんなのか、具体的な使い方までご紹介します!
- わびさびって簡単に説明するとどういう意味?
- わびさびの言葉の語源は?
- わびさびの具体的な使い方は?
日本人の心に染み付いているわびさび。
だからこそ、言葉にして説明するのは難しいものです。
日本人にとって当たり前わびさびという価値観。
是非チェックしてくださいね!
わびさびは簡単にどういう意味?
高台寺
徳川家康、前田まつ、加藤清正、福島正則らが度々訪れ、寺主と意見交換した寺。大阪城を出てこの地で静かに暮らすに良い風景
清水寺、金閣寺、銀閣寺など観光客であふれる寺と違い。ねね様が静かに暮らすわびさびの寺。
ねね様は、ただただ平和を願い身を引いた事が伝わります pic.twitter.com/LOSmCkGKyk— 田中はるか (@tanakaharuk) April 28, 2024
わびさびとは、質素で落ち着きのあるものや古くて不完全なものに美しさを見出すことです。
この価値観や考え方は日本人特有のもの。不完全さに価値を見出すことで、すべてのものの儚さや尊さを大切にするのです。
「わびさび」という言葉は、漢字で表記すると「侘び・寂び」となります。実はこの言葉、もともとは別の意味を持つ2つの単語を組み合わせたものなんです!
本来、「わび(侘び)」とは思い嘆くことや寂しいといった意味を、「さび(寂び)」は廃れることや劣化することを意味するネガティブな言葉。
それが転じて、自然の移り変わりや質素さの魅力を大切にするという、いい意味の言葉として用いられるようになったのです。
わび(侘び)とは?
「わび(侘び)」とは、質素さや素朴なものの中にある綺麗さや趣。また、そういったシンプルさを大切にして楽しむことです。
この言葉は、心の豊かさや考え方など、内面的なことを指します。自分の心が潤っていれば、シンプルであっても美しさを見いだせるという考え方なのです。
さび(寂び)
「さび(寂び)」とは、古びて不完全なものの中に、渋さや洗練された奥ゆかしさや趣があると捉えること。朽ちたり枯れていくことや、静かで落ち着いたものを良しとする考え方です。
この言葉は、侘びとは反対に、外見の劣化や風化などの表面的な状態を指します。すべてのものはいずれ変化してしまうからこそ、今が儚くて尊いという考え方なのです。
わびさびの語源
わびさびは、もともと中国の道教という宗教の考え方・教えの1つです。
実は、わびさびという考えは日本から生まれたものではないんです!
中国が宋の王朝だった時代から存在する道教は、儒教と並ぶ中国特有の宗教です。宋は979年から中国一体を支配していました。そのころにはすでにわびさびの考えはあったようです。
そしてこの考えは、仏教の宗派の1つであった禅宗に受け継がれます。禅宗においてわびさびは、質素な生活・禁欲的な教えの中に美しさや良さを見出すための考え方だったのです。
厳しい修行を耐え抜くために、彼らはその教えそのものが美しくて素晴らしいと考えるようになっていったのですね。
そしてこういった考えは、長い年月を経て、はるばる日本へと伝来します。
日本へ伝わったのは室町時代から江戸時代にかけて。15〜16世紀頃には、多くの日本人の価値観として定着していったようです。
実はこのころ、わびさびの考え方とほぼ同時期に伝わった文化があります。
それは、茶道です!
わびさびといえば、千利休。彼は、茶道と俳諧を通してわびさびの文化を日本に根付かせ、発展させた人物です。
千利休や村田珠光らの働きかけによって、今まで豪華で華やかなものが好まれていた時代から、シンプルなものこそ美しいと考え、質素さを求める時代へと移っていったのです。
彼らの働きかけによって根付いた「わびさび」の心は、今の私達の時代まで廃れることなく受け継がれ、もはや日本らしさの象徴となっています。
私も、京都や時代の流れを感じられる物や町並みが美しいと感じます。
着飾ったり塗り固めてつくった人工的な足し算の美しさより、時の流れに身を任せて、なくなっていくものや残ったものの自然さが美しいと感じられるのは幸せなことですね♪
日本人だからこそ感じられる幸せなのかもしれません。
960年頃 | 【宋王朝時代(中国)】 儒教と並び、中国国内で発展していた道教の中でわびさびの考えが生まれる。 |
?年 | 大乗仏教の1派・禅宗の中にわびさびの教えが組み込まれるようになる。 |
1500年代 | 茶道と共に仏教が日本へと伝わる。禅宗のわびさびの考えに基づいた精神・価値観が生まれる。 |
1600年代 | 千利休や村田珠光らが、わびさびと茶道を融合させた侘び茶などを大成する。彼らが亡くなったあともなお、日本全体にわびさびの考えが普及する。 |
わびさびの使い方
わびさびは、現代ではポジティブな意味合いで使われています。
もともとは、貧困・単純・孤独などの意味を持つ「わび(侘び)」と、廃れること・劣化などの意味合いがある「さび(寂び)」という、ネガティブな単語。
しかし今では、「その質素さや時の流れがつくり出した渋さが美しい!」という褒め言葉として使われています。
確かに、わびさびってすごく素敵でそれ以外の言葉では表せない魅力があるときに使いますよね。
例文もご紹介します。
また、わびさびに正解はありません。
感じ方は人それぞれ、あなたがときの流れや儚さに心が動かされたなら、それこそが「わびさび」なのです!
でも、日本人の私達は日本特有の自然や歴史に、わびさびの心を感じ取ることが多い傾向があるのではないでしょうか。
私は、京都の町並みや歴史ある建物に訪れた時、息を呑んで感動してしまいました。そういった和を感じる場所や景色・香りって、日本人の血が騒ぎますよね♪
まとめ
以上、わびさびの意味や語源、使い方の例文についてご紹介しました。
- わびさびとは、質素で落ち着きのあるものや古くて不完全なものに美しさを見出すこと。
- わびさびは、もともとネガティブな意味合いの言葉だった。
- 今では、日本特有の美の価値観として、ポジティブな意味合いで使われている!
- わびさびの考え方は中国で生まれたもので、仏教の宗派の1つである禅宗の教えとして日本に伝わってきた。
- 千利休は日本におけるわびさびの第一人者!茶道と融合させ、その考え方や価値観を日本に普及させた。
- わびさびという言葉の使い方に正解・不正解はない!感じ方は人それぞれ。
仏教と強いつながりを持つこの言葉。学校の授業で聞いたことはあったけれど、真の定義や意味を言葉で表すのは難しいと思っていた人も多いのではないでしょうか。
わびさびという考え方自体は中国から伝わってきたものですが、日本で独自の進化を遂げた日本独自の文化でもあります!
私達が、なにかを見たり聞いたり嗅いだときに感じるそのなんとも言えない感動こそが、日本人の築き上げたわびさびなのでしょう。
わびさびを感じる心に間違いは存在しません!
あなたの「わびさび」の心を動かされるものはなんですか?